【関東大震災】 名もなきカメラマンの記録から #11
名もなきカメラマンの記録から、、、いよいよ最後のページになりました。
こんな脱線した特集を組んで90年も前のネガからいくつか写真をご紹介してきたわけですが、
今回改めてネガを並べ直し、その撮影過程が明らかになってくると新しい発見もありました。
その場の真実を一瞬で記録する”写真”は本当に素晴らしいものだと思います。
カメラはもちろん、フィルムだってそう簡単に手に入るものではなかったでしょうに、こうして記録を
残してくれたことにまず感謝する次第です。
そして、その記録された写真に映る世界と、様々な文献に残る事実の記録を繋ぎ合わせたとき、
この関東大震災という未曽有の大災害が自分の中でより身近なものに思えてきました。
2006年に96歳で亡くなった横浜生まれ鎌倉育ちの祖父にもっとこの当時の話をきいておけば
よかったと今さらながら大変後悔しています。
大震災や戦争は「怖いもの」としか思っていなかった自分に腹が立ちます。
資料に残らない一人一人の記憶は、誰かに伝えなければそれで終わってしまうのです。
この特集をやって、自分がこの半生で見てきたものをきちんと伝えられるように整理しておきたい
と思うようになりました。
さて、前置きが長くなってしまいましたが最終回は完全に”お尋ね写真”です。
明確な場所の答えが出せないけどすごく気になる写真。。。
どなたかご存知ではありませんか?
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大正12年9月
震災直後の様子をとらえたものと思われます。
今まさに火の手が街を包み込もうとしているようです。
これに繋がるネガは同じようなアングルの1枚だけです。
そんなに高くない丘に挟まれたところには平屋の民家、丘の上には洋風の建物・・・
この感じ、横浜・山手だと思いますが。。。
山手において地震では倒壊せず、後の火災によって消失した丘の上の洋風の大きな建物というと学校
横浜千歳縫裁女学校(後の横浜女学院)
横浜共立女学校(後の横浜共立学園)
横浜紅蘭女学校(後の横浜雙葉学園)
横浜第三中学校(後の横浜緑ヶ丘高校)
場所的にそんなに深い谷ではないようだし、妙香寺から見た紅蘭女学校附属初等科のような
感じがするのですが、私にはまったく確証的なヒントが見つけられません。
この地形と延焼地図から拾っていくしかなさそうです。
見る人が見れば簡単にどこだか判るのでしょうけど・・・。
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大正12年9月9日
続いて9月9日のネガから、これも丘と建物の感じから横浜・山手界隈だと思うのですが、
なかなか確証的な位置が見つかりません。
中央には大変特徴的な洋館が無傷で残っています。
その左、遠くには教会の屋根のような尖塔が見えますね。
手前の瓦礫、樹木のある土地と、洋館の間には谷があります。
ネガを見たときには大神宮山の「ヴィラ・サクソニア」かと思ったのですが、ちょっと様式が違いますね。
それにしても、手前の住居が並んでいたであろう土地は見事に何も無くなっていますね。
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大正12年9月9日
さらに近づいて撮影しています。
本当に立派な洋館で、尖塔部分には何か避雷針のようなものも立っています。
右手には上の写真から続く道が谷に沿ってV字の坂になっているようです。
丘の上は周りにも建物が残っており、谷が焼けつくされたのとは対照的な状況です。
洋館の下の崖には火炎に煽られたような黒い模様が続いています。
画面下で横に続く石垣は手前が道路だったのでしょうか。
これだけ立派な洋館が残ったのですから、何かしらの手がかりが掴めても良さそうなものですが、
今のところ正解に辿りつけていません。
鋭意調査中ですが、皆様の中で何かご存知の方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡ください。
こんな感じで終わるのは大変不本意ですが、これにて特集「名もなきカメラマンの記録から」を
終了させていただきます。
お付き合いいただきありがとうございました。
今後もこれらを始めとする撮影場所不明ネガの調査は続けていきます。
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