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2016年6月24日 (金)

【模型】 関東合運2016用モジュール製作 #6

休みの日は子供を保育園に送った後、1時間でも2時間でも寝ていたいところですが、誰にも邪魔されないうちに
やっておかないといけないことが山ほどありますよ。

外は雨だし、今回はジオラマモジュール用の植物を用意したいと思います。
以前から建築模型用にストックはしてあるので、まずは増産の準備から。

薬品を使いますので、もしこの方法をトレースする場合は十分にご注意ください。
使用する薬品は直接人体に影響の有るような毒劇物ではありませんが、アルコール類は引火の恐れがあります。
基本的にはダイソーやホームセンター、薬品は薬局で手に入るものだけを使っています。

では、初公開の模型用植物作成をどうぞ。

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出してきたのはジオラマ植物作成セット。
これとダイソーの詰め替え用インクジェットプリンタインク、ジャムの空き瓶など。

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まずは使用する薬品類です。

・プロピレングリコール(PG)
・ポリエチレングリコール400(PEG)
・燃料用アルコール

何に使うかというと、実際の植物を枯らさずにある程度の形を保たせたまま着色する、いわゆる
プリザーブドフラワーの技術の応用です。

燃料用アルコールはアルコールランプに用いるもので、コーヒーのサイホンを沸かすのに使うため
コーヒー豆を売っているお店で「ネンコール」という商品を扱っていたりします。
内容成分はほぼメタノールで、塗装剥離でおなじみのイソプロパノールが少々といった感じ。
作用としては植物の水分と色素を溶出させるのが目的です。

プロピレングリコール(PG)とポリエチレングリコール(PEG)は不揮発性の保湿剤で、植物中の水分と
置き換わり、その形を保って長持ちさせるのが目的です。
化粧品などにPGと書かれていたらこれです。
PEGはマクロゴールという名称の医薬品として下剤に使ったりもします。

PEGは粘度によって種類があり、プリザービングで使うのは400か200がいいと思います。
数字が小さいと常温でサラサラの液体、大きいとバターのように固体になります。
今回の400はメープルシロップくらいの粘稠度です。
固体のPEGを熱して溶かし、木材の水分を置換することで腐らないようにする加工技術もありますね。

PGとPEG、どちらも毒性は極めて低いです。興味のある方は調べてみてください。
薬局で試薬として購入できますよ。

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今回のモジュールは春先の季節設定で、ピンピンの若葉や青々と茂った葉っぱではないので保湿剤は少な目。
アルコール420mlにPEGを80mlで500ml調整したいと思います。
市販のプリザーブドフラワーのようなほぼ完全な植物の状態をキープするにはPEGを30%以上の
濃度にするのがいいようです。

アルコールは引火性があります。作業中は火気に十分注意してください。

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今回はPEGを使いましたが、普通にドラッグストアで入手できるグリセリンを使ってもだいたい
同じようなことが出来ます(ちょっと出来上がりのクオリティーが低いかも・・・)。
PGの出番がありませんがPEGと同等に扱えます。

燃料用アルコール(メタノール+イソプロパノール)もプロピレングリコール(PG)もポリエチレングリコール(PEG)も
水と任意に混ざる性質があるので、植物中の水分は浸透圧の関係でプリザービング液の方に移動し、
代わって水分が抜けたところにプリザービング液が入ります。
またこの時、メタノールの効果で葉緑素が溶出されて液は緑色に、植物は緑色が抜けます。
プリザービング液に染料を入れてあればその色に染まるというわけです。

PEG濃度が高ければ、より元の植物に近い質感のプリザーブド処理になりますが、高すぎてもダメなようです。
自分が試したのは50%くらいまでで、それ以上は未知の領域、、、テストが必要でしょう。

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アルコールとPEGを混和して500mlとし、空瓶に入れました。
これがプリザーブド処理の原液になりますが、その前にひと働きしてもらいましょう。

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以前プリザーブド処理しておいたものを出してきました。
かれこれ半年から1年近くこんな状態で放置してあります。

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引き上げると・・・うっすらグリーンに染まっています。
売っているライケンやターフのように元からあんまり濃くしてしまうとジオラマでは浮いてしまいますので、
ごく自然な薄い黄色~緑色になるように作っておくのがいいと思います。

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先ほど作ったプリザーブド処理原液をビンに入れ。。。

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取り出した処理済植物を軽くすすぎます。
こうしてだんだんと液に色が付いていくので、すすぎ液として使った後、ある程度色が濃くなったら
染料を入れて本番のプリザーブド処理液として使うと無駄が出ません。

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染料にはインクジェットプリンタ用のインクの他、この「クラフト染料」を使っています。
クラフト染料は塩基性の染料のため、他の染料に比べて色の保存性がいいんです。
これらを適宜混ぜたりしながら適当な色を作っています。

発色性自体はプリンタインクの方がいいようですので、濃い緑の植物を作る時にはインクで
やることが多いですね。

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こちらはおなじみのネコジャラシ(エノコログサ)。
ネコジャラシの季節は今からですので、こちらの方はすでにほぼ1年漬かっておられました。。。

プリザーブド処理液は使いまわせますが、植物の水分が出て濃度が下がるので、PEGを足さないと
ドライフラワーのようになってしまいますので注意です。
どこでどれくらい足すかは、、、勘ですかね(汗)

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いくつか度引き上げたところ。
ペーパータオルのようなものの上に広げ、余分な液を落とします。

PEGの性質上、ドライフラワーのように完全乾燥はしませんので、液を落としたら日陰に置いて
アルコールが飛ぶまで放置します。

作業中、乾燥中は火気に十分注意してください。

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自家プリザーブド処理で作っておいた秋から冬・早春用の各種植物。
PEG10%くらいの原液を用い、半分ドライフラワーのようになっています。

下の白っぽいのと薄茶色っぽいのは染料無しの原液のみでプリザービングしたものです。
アルコールの作用で葉緑素が抜けるため、植物体自身の色になります。
これに染料や塗料を使って後付けで着色することも出来ますので面白いですよ。

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これはPEG濃度20%で作ったもので、形はわりと元の状態に近い感じです。
ちょっと白っぽく見えますが、これに着色するとリアルですよ。
濃い色で全部染めちゃうとオモチャっぽくなるんですよね。

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これはPEG10%。染料も少ないのでちょっと枯れ草ですね。

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PEG無しの燃料用アルコール+プリンタインクで作ったものは葉っぱがチリチリで色が濃いです。
これはこれで枯れ草の他、樹木の枝葉として使い道があります。

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夏用の濃い緑色のもの。
プリンタインク+PEG40%で作ったものです。

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ネコジャラシはPEG濃度を変えてもほとんど見た目が変わりません。
ただPEG無しだと乾燥してパラパラと崩れちゃうので、最低でもPEG20%くらいがいいと思います。

おすすめはちょうど今の時期、出始めの頃のネコジャラシで、「種の見えない若いもの」が
後々使うのに重宝します。
使う時、種を取るのが面倒なんですよ、これ。

雨が止んでるので、子供のお迎えついでにちょっとネコジャラシ採取に出かけてきま~す!

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コメント

初めまして、いつも興味深く拝見しています。
ジオラマに植える植物まで作るとは、恐れ入りました。
私もジオラマ大好きなので今回のなりゆきは大変楽しみです。

ひとつ質問なんですが、猫じゃらしのほかに使っている草は見たことの無い感じですが何ですか?
差し支えなければご教授よろしくお願いします。

完成を楽しみにしております。

投稿: HiroPON | 2016年6月24日 (金) 15:14

>HiroPONさん、コメントありがとうございます!

植物名を入れるの忘れてました、、、スミマセン。
たくさんあるのは夕霧草という植物から作ったものです。
濃いグリーンのはペッパーグラス、日本名だと胡椒草という植物です。
近くのホームセンターで買って来ますが、最近ペッパーグラスは見かけません。
頼めば仕入れてくれるのかどうか確認が必要ですね。

無い物は作る、の精神で色々やっております。
今後とも宜しくお願い致します。

投稿: HP10SH | 2016年6月24日 (金) 20:50

管理人様、ありがとうございます。
夕霧草ですか、見るからにジオラマ向きな植物ですね。
薬品を使うのは少々尻込みしてしまいますが機会があればやってみたいです。

投稿: HiroPON | 2016年6月25日 (土) 19:13

>HiroPONさん
何かありましたらいつでもご質問下さい。

他人と同じものが嫌いで、何でも自分でやってみないと気が済まない性質でして・・・。
そんなんで少しプリザービングのノウハウがあります。
敷居が高いかもしれませんがやってみればたいしたことはないです。
市販に無いジオラマ植物を大量生産出来るのがいいですね。

投稿: HP10SH | 2016年6月26日 (日) 01:07

Dear sir:
I'd like know more about preserved flower liquid.
Do you have a book or courses?
thank you

投稿: ikemura | 2017年3月 7日 (火) 06:24

>ikemura-san
Thanks for your comment.

I am a pharmacist.
I have the knowledge of chemicals.

I knew the method of the preserved flower in a shown patent.
I changed the condition little by little and tested it and made a suitable thing to use it for a diorama.
I'm sorry, but I don't remember where I read.
But a Japanese patent surely includes it.
thank you

投稿: HP10SH (管理人) | 2017年3月 7日 (火) 22:46

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